世界三大紅茶の違いを楽しもう!|ダージリン・ウバ・キーマン

「世界三大紅茶」をご存じですか?インドのダージリンとスリランカのウバ、中国のキーマンです。世界三大紅茶についてはいろんな記事でまとめられていますが、紅茶をとりまく環境は移り変わるもの。それを踏まえ今回は、少し新しい情報を交えながらまとめました。

[1]世界三大紅茶とは?

ダージリン ウバ キーマン
原産地 インド スリランカ 中国
水色(すいしょく) 薄い黄金色からオレンジ(※収穫シーズンで変化) 明るい橙色 深い赤銅色
香り ウッディーな香り、マスカットの香り トップシーズンのものは独特のメントール香 最高級茶葉は花のような甘い香り、スモーキー
爽やかで、やさしい口当たり コクがあり、爽やかな渋みがある 渋みが少なく、甘みもある
飲み方 ストレート ストレート・ミルクティー ストレート・ミルクティー

「世界三大紅茶」は、「ダージリン」「ウバ」「キーマン」という3つの産地で収穫される茶葉をさします。銘柄ではなく、産地のことです。

日本茶で言えば、宇治、狭山、嬉野のように全国に産地がありますが、そんなふうにとらえてください。

では、「世界三大紅茶」と言われるこの3つの産地について、解説していきます。

[2]ダージリン(Darjeeling)の特徴

インドのダージリン地方を原産地とする紅茶で、日本でもよく知られています。紅茶ファンでなくてもご存じの方も多いでしょう。

ダージリンが多くの方に好まれるのは、その爽やかさと上品な渋み、独特のマスカテルフレーバーによるものだと思います。特に、日本茶で育った日本人は、味にも香りにも大変敏感なため、ダージリンの微妙な香り、味わいが嗜好に合うともいえるのではないでしょうか。

また、インドでは生産した茶葉の多くを自国で消費しています。そのため、紅茶のオリジナリティーも守られており、ブランド産地としての地位を築いているのです。

ダージリンの収穫シーズンは3度!シーズンごとの変化を楽しもう!

・ファーストフラッシュ

春摘み【3月中旬~5月初旬】
長い冬を経て芽吹いた新緑の葉。圧倒的な爽やかさ、清涼感。
水出し、炭酸出しで飲むのもおすすめ。
エキスが濃いので、日本茶のように小さなうつわで味わっても。
水色:うすい

・セカンドフラッシュ

夏摘み【5月中旬~7月】
バランスがよいマスカテルフレーバーが楽しめる。
そもそも(20年前頃は)セカンドフラッシュが最も味がのっていると言われていた。
お茶そのものをストレートで味わうのがおすすめ。
水色:ふつう

・オータムナル

秋摘み【9月~11月中旬】
コクのある深い味わい。ミルクティでも負けない風味
当たり年になれば、コクのある極上のブランデーのような味になる。そのときは、ぜひミルクティーで。
水色:濃い
ダージリンの収穫シーズンは3度あります。
春らしい爽やかな風味が特徴の「ファーストフラッシュ」、熟成した味と香りが楽しめる「セカンドフラッシュ」、円熟した濃い味わいの「オータムナル」という3つのシーズンで収穫が行われています。

一度味わってほしい「マスカテルフレーバー」

3つのシーズンごとの変化を楽しむことはもちろんですが、一度は味わっていただきたいのが「マスカテルフレーバー」です。

「マスカテルフレーバー」とは、セカンドフラッシュの上質な茶葉だけが持つ香りで、ごく一部の茶葉だけで楽しめる“マスカットのような甘い果実の香り”が特徴となっています。

現在は、なかなか良いダージリンに出会えなくなっているのがともて残念ですが、ダージリンでしか味わうことのできない「マスカテルフレーバー」は忘れられない紅茶の1つになるはずです。

ダージリン地方は、一年中収穫できる気候ではないため、一定期間、茶樹が休むことでおいしさが蓄えられ、強く、豊かな風味を作り出すのです。ぜひ、茶葉の息吹を感じてみてください。

[3]ウバ(Uva)の特徴

「ウバ」はスリランカ南東部の標高約1800mに位置する産地。その名前は缶やペットボトルのミルクティーなどで使用されていることもあり、「聞いたことはある」という方も多いのではないでしょうか。

旬の「ウバ」は、他の紅茶とは圧倒的に異なる味と香りです。その個性ゆえ、好き嫌いが分かれると言ってもいいでしょう。

ウバのフレバリーシーズン

フレーバリーシーズンは7月~9月。特徴である「ウバフレーバー」と総称される独特の香りが最も豊かになるシーズンです。「ウバフレーバー」はサロメチール香と呼ばれるメントール系の香りです。

良質のものほど香りが強くなりますので、「香りが苦手」という方はミルクティーをおすすめします。ミルクティーにすることで、メントール香がフルーティーに変化し、深いコクと爽やかな香りをお楽しみいただけます。これもウバの楽しみの1つです。

フレーバリーシーズン以外の茶葉に注意

香りの高いフレーバリーシーズンのウバの生産量は全体の50%以下で、中にはメントール香を強調するために、フレーバリーシーズン以外の茶葉に着香しているものも存在するので注意が必要です。

見分け方は、冷めてもずっと香りが残っているかどうか。残っている場合は着香の可能性が高いでしょう。そのため、フレーバリーシーズンの茶葉である証明書が発行されているほどです。もちろんカレルチャペック紅茶店では、証明書付きの「ウバ」をお届けしています。

また、アイスティーにする場合、タンニンが強い「ウバ」は透明感を保つのが困難です。そこで、おすすめの入れ方が「水出し」。独特の香りをアイスティーでも楽しめる飲み方ですのでぜひお試しを。

ストレートで楽しめる「ゴールデンリング」

ウバは、水色が非常に美しい紅茶としても有名です。カップに注ぐと、内側のフチに「ゴールデンリング」と呼ばれる金色の光が映ります。

フレーバリーシーズンの茶葉は「ゴールデンリング」がさらに美しく輝きますので、ストレートでいれてウバフレーバーとともに水色の美しさを楽しむのもおすすめです。

[4]キーマン(祁門/Keemun)の特徴

中国の安徽省(あんきしょう)祁門県が原産地となる紅茶で、収穫シーズンは6月~9月と短く、ごく少量しか生産されていない銘柄です。

しかも、上級品になると工程が増えるため希少価値が高まり、フレーバリーシーズンのピークとなる8月に摘まれた最高級品は、さらに入手が難しくなっています。

キーマンの味と香り

最高級品には異常な高値がつくこともある銘柄ですが、果実のような強い甘みとともに、蘭のような甘い香りや微かに香るスモーキーフレーバーを味わえるのは「祁門紅茶(キーマンホンチャ)」でしかありえません。

澄んだ明るい水色を楽しみながら、ストレートでいただくのがおすすめです。高品質のキーマンにも出会えることはめったになく、いまではかなり貴重な存在になりました。

[5]終わりに

世界三大紅茶の「ダージリン」「ウバ」「キーマン」についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。収穫シーズンによっても風味が変わる紅茶。高価なものありますが、できればフレーバリーシーズンのピークに収穫された上級品で本物味わいたいものですね。水色の違いや香りの高さなどが全く異なる3つの産地の紅茶ですので、ぜひじっくり違いを堪能して、紅茶の世界を広げてみてくださいね。

個人的な意見ですが、世界三大紅茶にセイロン紅茶を入れるなら、むしろディンブラではないかと思います。華があり、熱くても冷めても、またミルクを加えても基本のおいしさが濃く味わえるセイロン紅茶の女王。評価というものは時代によって変わるもの。あなたならではの三大紅茶を作ってみてはいかがですか。

  • «
  • »
  • 最近の投稿