ウバ紅茶ってどんな味?特徴やおすすめの飲み方をご紹介

ウバ紅茶はお好きですか?特徴的な渋みと爽快感のある香りで、他の紅茶にない独特な味が魅力です。今回は茶葉の特徴や茶園をご紹介します。おすすめの飲み方に加えて、ウバ紅茶を美味しく飲めるコツをご紹介します。参考にしてみてくださいね。

[1]ウバとは?

ウバはスリランカのセイロン島南東部に位置するウバ地方で栽培されます。標高は約1,800m。ハイグロウンティー(高地産の茶葉)の1つです。

「ウバ・フレーバー」と呼ばれるメントール系の爽やかな香りとカップに注いだ時にあらわれるコロナリングと呼ばれる輝く水色の美しさが特徴で、良質なものほど顕著にあらわれます。

そのウバの特徴でもあるメントールフレーバーが現れるのは、クオリティーシーズンと呼ばれる旬の時期のみ。

1年のうちほんの数週間だけのその旬のウバにはなかなか出会えないのが現状で、その特徴的なフレーバーから、着香して販売する業者もいると聞いたことがあるくらいです。着香していないナチュラルなウバ茶は特徴的な香りながら、後には残らない爽やかなキレがあります。

ウバのクオリティーシーズンは、地理的条件から他のセイロンティーとは異なりたいてい7〜8月ですが、こちらもその年の気候条件により前後することも。

おいしいウバ茶に出会えた時には、紅茶が農作物であることを実感し、その希少さにありがたく思えるくらいです。

ウバは世界三大銘茶のひとつ

ウバはあまり知られていないのですが、ダージリン、キーマンと並ぶ世界三大銘茶のひとつです。あまり親しまれていないウバですが、やはりその圧倒的な特徴から世界三大紅茶になっているのでは、と思うくらいです。それぞれの産地、風味を紹介します。

▼ダージリン

ダージリンはインドの北東部に位置するダージリン地方で収穫されます。ヒマラヤ山麓の標高2,000mを超える高地で育ちます。

マスカテルフレーバーと呼ばれる甘いマスカットのようなダージリン特有のフルーティーな香りや爽やかさ、上品な渋みが特徴です。

収穫時期によって香りや味が変化するので、シーズンごとに異なる味わいを楽しめます。また、紅茶好きでなくても知っているのがダージリンで、高級紅茶の代名詞的な存在でもあります。

▼キーマン

キーモンやキームンと呼ばれることもあります。

キーマンは中国の安徽省祁門県(あんきしょうきもんけん)で栽培されます。茶園は丘陵地帯を中心に拓かれており、亜熱帯に属します。

澄んだ明るい水色と果実のような甘み、花のような芳香、かすかに感じるスモーキーフレーバーが特徴です。

キーマンもウバと同じく、あまり日本では親しまれておらず、また良質なものに出会えることは多くありません。

良質なものを飲んだ方は、好きな紅茶の種類はキーマンとなるくらい、忘れられない味になるようです。

セイロンの7大紅茶

セイロン紅茶はスリランカで栽培される茶葉を使った紅茶を指し、旧スリランカの国名”セイロン”に由来しています。スリランカには世界有数の紅茶産地がありますが、その中で世界的に有名な『セイロン・セブン・カインズ(Ceylon Seven Kinds)』と呼ばれる7つの紅茶をご紹介します。

▼ウバ
メントール系の爽やかな香り、輝く水色が特徴
良質なものにはなかなか出会えない。

▼ヌワラエリア
発酵が浅い仕上げで、独特の渋みと高貴な香りと甘みが特徴
「セイロンティーのシャンパン」とも呼ばれる。茶園が少なく希少。

▼ディンブラ
柑橘系の香りとキレの良い渋みが特徴。香り、ボディー、渋みのバランスが良い旬のディンブラは別格。

▼キャンディ
セイロン紅茶発祥の地として有名。良くも悪くもあまり特徴がない。

▼ルフナ
濃い赤茶色の水色と濃厚な味わいが特徴。ミルクティーに良く合い、インドのアッサムよりも後味が軽く爽やかに楽しめる。

▼サバラガムワ
以前はセイロンティーは5カインズだったが近年7カインズに。もともとはルフナにカテゴライズされていた地域です。

▼ウダプッセラワ
ウバに近い位置にあり、口当たりと喉ごしの良さ、ほのかに香るメントール香が特徴。ザバラガムワと同じく新しくカテゴライズされた地域です。

[2]ウバ地方

険しい山や谷に吹く風の音から「ウバ」と名づけられました。ウバ州は小乗仏教を信仰する多数民族シンハラ人の巡礼の地で、古くから残る仏教寺院が数多くあります。

ウバ地方の歴史

1818年、イギリス植民政府は戦闘を経てウバ地方を征服し、コーヒー園を開拓。その後茶園へと変化しました。1890年、トーマス・リプトンはウバの茶園を買収。さらに未開拓地を茶園にし、製茶工場でウバ紅茶の増産を行いました。

ウバの茶園

ウバ地方には50以上の茶園があり、茶園によってウバ紅茶の味が違います。

例えば

・ウバハイランド茶園
・セントジェームス茶園
・ハイランズ茶園
・ディックヴェッラ茶園
・アイスラビー茶園

などがありますが、茶園によって味の良し悪しを決めることはできません。例えば、その茶園のマネージャーが変わると味も変わります。

スリランカでは、紅茶は国の一大産業のため、個人で経営しているプライベート茶園だけでなく、会社が経営している茶園グループが多くあります。

茶園マネージャーは、いろいろな産地へ異動する可能性があり(日本でいうと、宇治茶や八女茶や静岡茶の各茶園へ異動!)、敏腕マネージャーが異動する先々の茶園で受賞を重ねることも。

でも、逆にマネージャーが変わることでおいしくなくなってしまうこともあります。また、もちろん、その年の天候によって味は大きく異なるので、この茶園がおいしいと決められないことも、テイスティングの腕の見せどころだったりもします。

[3]ウバの茶葉の特徴

茶葉の収穫時期

ウバの茶葉は1年を通して生産されます。4~6月、10~11月は多雨期の影響を受け、茶葉の育成が盛んになる量産期です。

8~9月に収穫されるウバはクオリティー・シーズン茶。メントール香のような独特なウバ・フレーバーを楽しめるのはこの時期の茶葉のみで、1年に数週間しかありません。

茶葉の製造方法

ウバの茶葉は大きく硬いことが多く、ローターバンという製法で細かく茶葉がカットされる工程をふみます。

一部はOP製法で作られています。

▼ローターバン製法
茶葉の加工機「ローターバン機」を使った製茶方法です。ローターバンは茶葉を圧縮し、細かく切断します。この製法で作られた茶葉は濃厚な紅茶液をより短時間に抽出できるのが特徴です。

▼OP製法
ローターバンを使わずに、茶葉を撚る(よる)揉捻器で茶葉を成形します。OPはオレンジ・ペコーの略称で、大きく細長い形の茶葉を表します。お茶を注ぐと茶葉がゆっくり開くのが特徴です。

[4]ウバ紅茶の特徴

茶葉は茶褐色、水色は明るい真紅色・橙色。7~9月以外のウバ紅茶は色が濃く出て、クオリティーシーズンよりも深い色合いになります。香り・味・色のバランスが良いのが特徴ですが、これをウバ茶だと思ってしまうのはもったいです。やはり、ウバは旬の時期のものに限ります。

ウバ紅茶の味

ウバ紅茶は芳醇で深いながらもキレのある渋みがあり、他の紅茶と絶対的に異なる独特な味わいが特徴。好みがわかれますが、その特徴の虜になる方も多くいます。

ウバ紅茶の香り

クオリティー・シーズンのウバ紅茶は、ウバ・フレーバーと呼ばれるメントール系の爽やかな香りがします。します。紅茶の中でメントール香を持つのはウバ紅茶だけです。

[5]ウバ紅茶の飲み方

ストレート

独特なウバの風味を堪能したい方はストレートがおすすめです。ミルクや砂糖を入れずにそのまま飲むと、ウバ本来の渋み・香り・新鮮さを感じることができます。また、ウバ紅茶の美しい水色を楽しむことができるのもストレートの魅力です。

濃いと感じた時は、いつもより茶葉を少なめにしてむらし時間はそのままで、ウバのおいしさはきちんと引き出すことをおすすめします。

ミルクティー

ウバはミルクと相性抜群です。ウバ紅茶自体の味が濃いので、ミルクを入れてもウバの味や香りを感じることができます。そして、その爽やかなミルクティーを楽しめるのはウバだけ。ぜひ、ミルクティーでもウバを堪能いただきたいです。

水出しアイスティー

ウバ紅茶をアイスティーで飲む場合は水出しするのがおすすめです。ウバにはタンニンが比較的多く含まれている場合が多く、オンザロック方式(※)でアイスティーを作ると、紅茶の温度変化により白く濁ってしまいます。

水出し方式にすると紅茶の温度変化が小さくなり、澄んだ水色に。ホットティーよりもまろやかな渋み、甘み、爽やかさを感じることができます。爽快な香りが引き立ち、ティータイムだけでなく食事と一緒に飲むのも◎。

※オンザロック方式:茶葉をお湯で蒸らしたあと、氷の入ったティーポットやカップに直接注ぐアイスティーの作り方

[6]ウバ紅茶の美味しい入れ方

ティーバッグの場合

ストレートで飲むなら蒸らし時間は3、ミルクティーで飲むなら3〜4分がおすすめです。ミルクティーの場合はミルクで紅茶の味が薄くなるので、少し長めに茶葉のエキスを抽出しましょう。

リーフの場合

2杯分入れるときは、お湯300mlに対して茶葉3〜4g(小さじ2杯)がおすすめです。蒸らし時間はストレートで飲むなら3分、ミルクティーなら3-4分がおすすめです。

[7]ウバ特有の香りと味を楽しもう

ウバの特徴的な香りと味は、他に似ている紅茶がないくらい個性的です。渋みや香りは強めですが、だからこそ紅茶通の間では人気が高く、また、なかなかナチュラルなメントール香が香る旬のウバに出会えないことも、ウバの楽しみです。ぜひ皆さんが、本物のウバに出会え、紅茶の世界を楽しんでいただけたら、うれしいです。

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