セイロンの個性派紅茶・ルフナがもっと好きになる~ルフナ紅茶のおいしい飲み方~

ルフナと聞いて『低地産の茶葉だから品質も低い』と思っていませんか?それは大間違い。低地産の低は品質の高低にあらず!です。ルフナ紅茶は独特な味わいと香りが格別。今回は、セイロンの個性派紅茶とも呼ばれるルフナ紅茶をおいしく飲むためのポイントをご紹介します。

[1]ルフナ紅茶について

ルフナはよくインドのアッサムと似ているといわれます。ミルクティーに向いているという面では共通していると思いますが、コク、香り、複雑な味わいなど、他のどの紅茶に比べても高品質のルフナに匹敵するものはないと思っています。

ルフナはセイロン紅茶の生産量の約60%を占めていますが、その中でも特に、高品質のルフナは作り方のきめ細やかさにおいては極上で、市場においてもかなりの高値で取引されることがよくあります。

[2]ルフナ紅茶は独特な味わいと香りが人気

スリランカのローグロウン「ルフナ」

ルフナ(Ruhuna)はインド洋の島国・スリランカの中央山脈の南に位置する、標高約200~700メートルほどのローグロウン(低地産)で、セイロンティーの生産地の中でも最も低い地域です。

もともとスリランカはコーヒーの栽培が盛んでしたが、19世紀後半より紅茶栽培が始まり、今では世界最大級の紅茶輸出国へと成長を遂げました。

ルフナの低い標高、高い気温、そして豊かな太陽の日差しを浴びて育てられる紅茶は、その土壌条件から、しっかりとした濃い赤茶色の水色と濃厚な味わいが生まれています。

ちなみに「サバラガムワ(Sabaragamuwa)」は数年前までは「ルフナ」とされていた産地ですが、標高や気候の違いによって「ルフナとは異なる産地」として新たに加えられました。

CTC製法にするとコクや深みが増しますが、インド茶よりもライトですっきりとした味わいが特徴です。

高品質ルフナは個性が魅力~独特なコクと甘み、クリアな後味~

一般的にクセがなく飲みやすいと思われているセイロンティーの中で、豊かな個性が人気の紅茶、それがルフナです。独特のモルティーさ(カラメルのような麦芽香)、砂糖を焦がしたようなほのかに甘い香り。

しっかりとしたコク、舌に転がる黒糖のような甘味、ほどよい渋みも併せ持ちながらも、セイロンティーならではの透明感とコク、すっきりとした後味で、個性的ながらも飲みやすい紅茶です。

飲み方は、その豊かな個性をじっくりと味わえるストレートはもちろん、濃厚な味わいと香りでミルクとの相性も抜群!ミルクに負けないくらいしっかりと紅茶の味が抽出されるので、ミルクティーにも良く合います。

カレルチャペックの高品質ルフナ

カレルチャペック・ルフナ カレルチャペック・ルフナ茶葉は、世界最多受賞茶園歴もあるルフナの代表的銘茶園であるルンビニ茶園のものを使用。カレルチャペック紅茶店とルンビニ茶園は日本独占販売契約を締結しています。
特別にオーダーメイド仕上げをしてもらい、低地産特有のコク・甘みと、高地産のようなクリアなキレを併せ持つルフナを実現。
甘み・コク・クリアなキレのすべてを感じる逸品で、独創性を技術で実現する名マネージャー・チャミンダ氏&ウディカ氏の仕上げです。ルフナのイメージを覆します。
じっくり蒸らすと、透明感の中に広がる黒糖のような香りと舌に転がる甘味が感じられます。個性的ながらも飲みやすいので、ストレートにも、独自の香りと甘みが残るミルクティーにもおすすめです。
ホワイトピーチティー 茶葉本来の風味や鮮度が堪能できるフレーバーティー。「ルフナ=スモーキー」の常識を覆す、ルフナの名門キルワナガンガ茶園の旬銘茶葉を使用しています。以前はシーズンティーでしたが、人気のため定番に。甘み・コク・クリアなキレのすべてを感じる逸品で、独創性を技術で実現する名マネージャー・ウディカ氏の仕上げです。フレッシュな白桃の香りは甘味を加えるとよりUP。ミルクティーにしても、白桃感が残るデザート紅茶として楽しめます。
ミルクキャラメルティー 新鮮なルフナ茶を使用したミルクティー。甘くてほっとするミルクキャラメルフレーバーで、ミルク&お砂糖を加えるとデザートティーとして楽しめます。

▼ホワイトピーチティー

▼ミルクキャラメルティー

[3]ルフナのおいしい入れ方とレシピ

個性的な紅茶とは言っても、ストレートやミルク、アイスなど、ルフナはどんな飲み方でもおいしく飲むことができます。けれども、おいしく飲むためのいれ方はそれぞれ違います。ここではルフナをおいしく飲むためのポイントをご紹介していきます。

■ルフナの基本のいれ方(1杯分)

[作り方]
1.ポットを温めます。
2.ティーキャディスプーンですりきり1杯分の茶葉またはカップ用ティーバッグ1個に、汲みたての水を沸騰させ注ぎます(水の量は飲み方により以下を参照してください)
3.蒸らします(蒸らし時間は飲み方により以下を参照してください)
4.リーフは最後の1滴まで、ティ―バックはしぼって、丁寧にカップに注ぎきります。

ストレートで飲む場合:150ml/4分ミルクティーで飲む場合:100ml/5分
アイスティーで飲む場合:100ml/3分(氷たっぷりのグラスに注ぎ、かき混ぜ、急冷させます)

※お湯と茶葉の量、蒸らし時間が味のポイントです。お好みで調整してください。

■ルフナでいれる新たな王道ミルクティー

ルフナを飲むとき、ぜひ試してほしいのがミルクティーです。黒糖のような独特の香りとクリアな後味は、他にはない風味のミルクティーを楽しむことができます。チャイやロイヤルミルクティーもおすすめ。ミルクを入れることで味わいが一気にマイルドになるので、ストレートでは飲みにくいという方にも試していただきたい飲み方です。

■濃いミルクティーのいれ方
※「濃いミルクティー」とは、ミルクをたっぷり入れているということではなく、濃い紅茶で作ったミルクティーのことです。

[作り方]
1.汲みたての新鮮な水を強火で沸かします。
2.温めたポットかカップに人数分の茶葉を多めに入れます。(ティーバッグは2個でも)
3.ミルクの2倍量の沸騰したてのお湯を注ぎ、ゆっくり4~5分蒸らします。
4.軽く温めたミルク(200mlなら電子レンジで1分程度)を加え、さらに2分蒸らします。
5.茶葉をこします。(ティーバッグは取り除く)※蒸らし時間が長いので、ポットやカップの下にマットを敷いて、熱が逃げないようにしましょう。

※甘味は、強い風味と濃厚な甘さの黒糖がおすすめです。黒糖はさとうきびの絞り汁をそのまま煮詰めたもので、独特の強い風味と濃厚な甘さがあります。ミルクティーに入れると紅茶の渋味と調和して、おいしさとコクを引き立たせてくれます。
※スパイスが欲しい、というときはナツメグを。使う量はごく少量でOKです。

■アイスロイヤルミルクティーの作り方

[作り方]
1.汲みたての新鮮な水を強火で沸かします。
2.温めたポットに人数分の茶葉を多めに入れます。(ティーバッグは2個でも)
3.沸騰したてのお湯を注ぎ、4分ゆっくりと蒸らし、かなり濃い紅茶を作ります。
4.お好みでグラニュー糖を加えます。(ミルクティーは甘味を加えることで、コクが引き立ちます)
5.グラスいっぱいに氷を詰めて、冷たいミルクをグラスの1/2量注ぎます。
6.紅茶が氷に当たるようにグラスに注ぎ、一気に冷やして紅茶の香りを閉じ込めます。
7.紅茶とミルクがきれいな2層に分かれますので、飲む直前にかき混ぜれば完成です。

※トールグラスがおすすめです。
※氷にこだわりましょう。長い時間をかけてゆっくり凍らせた市販の氷は溶けにくく、水っぽいミルクティーになりません。

■お鍋で作る本格チャイ

[作り方]
1.小鍋にお湯を沸かし、沸騰したら弱火にします。(このときにスパイスを投入しても)
2.小鍋に人数分の茶葉を多めに入れます。(ティーバッグは2個でも)
3.火を止め、フタをして3分待ちます。少し苦くなりますが、沸騰させないように弱火で2分煮出す方法もあります。
4.ミルクと砂糖を入れ、ごく弱火で1分程度、沸騰直前で火からおろします。※ポイントは、茶葉を入れてからお湯を沸騰させないこと。ミルクの温度にも気を配れば、紅茶の風味をしっかりと残したおいしいチャイに。

※茶葉は水から入れず、沸かしたお湯に入れます。
※ミルクは最後に入れ、ミルクの中で茶葉を煮出さないようにします。
※ミルクが高温になると独特の匂いが出るので、カルダモンやシナモン、クローブ、ジンジャーなどのスパイス入りがおすすめです。

[4]ルフナのその他のアレンジレシピ

■キャンブリックティー

はちみつとミルクで亜麻色になります。咳が出るときにおすすめのジンジャーとアニスが入っています。
※基本は濃いミルクティーの作り方と同じです。
※スパイスは茶葉と一緒に蒸らします。

材料 茶葉キャディスプーン2杯、お湯200ml、ミルク100ml、ジンジャー、アニス、はちみつ各小さじ3
蒸らし時間 4分

■アイスキャンブリックティー
※基本はアイスロイヤルミルクティーと同じ作り方です。
※スパイスは茶葉と一緒に蒸らします。

材料 茶葉キャディスプーン1杯、お湯80ml、ミルク60ml、ジンジャー小さじ1/2、はちみつ小さじ2
蒸らし時間 4分

■マサラティー
体にいいスパイスがたっぷり!
※基本は濃いミルクティーの作り方と同じです。
※スパイスは茶葉と一緒に蒸らします。

材料 茶葉キャディスプーン大盛り2杯、お湯150ml、ミルク150ml、カルダモン、シナモン、クローブ、グラニュー糖各小さじ3
蒸らし時間 5分

■ソイミルクティー
健康志向の方に。クセの少ない調整豆乳がおすすめです。和菓子にもよく合います。
※基本は濃いミルクティーの作り方と同じです。

材料 茶葉キャディスプーン2杯、お湯200ml、豆乳100ml、はちみつ大さじ1
蒸らし時間 4分

■ホリデイミルクティー
※基本はアイスロイヤルミルクティーと同じ作り方です。
※ココナッツミルクパウダーの場合は、紅茶をこしたあと、よく溶かします。

材料 茶葉キャディスプーン1杯、お湯80ml、ミルク50ml、ココナッツミルク大さじ2、グラニュー糖小さじ2
蒸らし時間 4分

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[5]おわりに

以前、ザ・リッツ・カールトン大阪でのティーセミナーで、ルフナで作る紅茶プリンを監修しました。生クリームや卵を使用するにもかかわらず、しっかりと紅茶自体のコク、風味が残っていて、参加者の皆さんやリッツカールトンのシェフ、スタッフの方々にも、お褒めの言葉をいただきました。

アールグレイをお菓子に使うことはよくありますが、それはフレーバーがお菓子の相性が良いから。これほどしっかりと紅茶の存在感を出せるのはやはり高品質ルフナだからこそ。紅茶専門家の中に、「ルフナは低地産だから品質が低い」という人が多いのに驚かされます。そんな方にこそ、ぜひ一度高品質のルフナを飲んでいただきいのです。

ルフナほど品質に差があるものはありません。高品質のものは、ブランデーやウィスキーに共通する深い魅力があります。私にとってのベストミルクティーは、やはりルフナ以外にありません。皆さんもぜひ極上ルフナを味わってみてください。きっと紅茶のおいしさの概念が変わるはずです。

<出典>
山田詩子『紅茶の時間 The Teatime Book』

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