紅茶に含まれる成分の抗酸化力とは?~美しさや若々しさをサポート
今回のテーマは、『抗酸化力』です。実は、とても多くの食品に含まれている“抗酸化”という働き。食品に含まれる成分のなかでは、ビタミンやポリフェノールなどに高い抗酸化力があるとして知られています。
かつての日本であれば、一般的な食事の中で十分な抗酸化作用を得ることができていましたが、欧米化した食事や嗜好品、生活のストレスといった時代の変化に伴い、意識的に抗酸化作用のある食品を摂取することが推奨されています。
実は、紅茶にも何種類かのポリフェノールが含まれていて、身体の老化、サビつきを抑えるのに効果があるといわれています。
では、“抗酸化”とは、一体どのようなものなのでしょうか。抗酸化の必要性をはじめ、抗酸化力の高い食品について解説していきます。
活性酸素と抗酸化作用
抗酸化の必要性は、『活性酸素』と呼ばれる物質にあります。私たち人間が生きていくためには『酸素』が欠かせません。しかし、一部の酸素は『活性酸素』へと変化します。
活性酸素は、非常に酸化力(サビさせる力)が高い物質であり、蓄積されることで年齢とともに感じる身体の衰え(老化)や疾病の原因になります。
■活性酸素が蓄積すると…
・老化を早める
・疲れやすくなる
・がん細胞の増殖
・動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす
など、多くの弊害を及ぼすことが明らかになっています。
■老化が早まることで起こる、具体的な身体の変化
・皮膚のしわ、しみ、そばかすが増える
・関節の痛み(リウマチ性関節炎)
・白髪が増える、髪が抜ける
・視力が弱くなる、目がかすむ
・歯や骨が弱くなる
・風邪をひきやすくなる
・筋力の低下
・胃がもたれやすくなる
・物忘れが増える
など、身体の不調や機能の低下を感じやすくなります。
これらの症状を引き起こす活性酸素を減らすためには、“活性酸素の原因”と、活性酸素を排除する“抗酸化力”への2つの対処が重要になります。
■活性酸素が増える原因とは?
活性酸素を増やす要因は日常のなかに溢れています。活性酸素の生成が増えれば、その分だけ抗酸化作用の負担が大きくなってしまいますので、活性酸素をつくる原因を減らしていくことから見直していきましょう。
【活性酸素を増やす原因】
タバコ, ストレス, 不規則な生活, 食品添加物, 紫外線, アルコール, 脂肪の多い食品, 栄養素の不足, 環境ホルモン, 車などの排気ガス, 農薬など
アルコールは分解の過程で活性酸素が発生します。しかし、ストレスの緩和などにも効果がありますので、すべて断つのではなく適量で楽しむようにしましょう。
スナック菓子やインスタントラーメンといった脂肪や食品添加物が多い食品にも注意が必要です。
抗酸化物質を多く含む食品とは?
主な抗酸化物質とそれらを含む代表的な食品
ビタミン | ビタミンE | カボチャ、ほうれん草、アーモンド |
ビタミンC | ブロッコリー、小松菜、かんきつ類 | |
βカロテン | 緑黄色野菜 | |
フラボノイド | テアフラビン | 紅茶 |
テアルビジン | 紅茶 | |
アントシアニン | 赤ワイン、ブルーベリー、黒豆 | |
イソフラボン | 大豆(納豆、豆腐) | |
カテキン | 紅茶、緑茶、りんご | |
ケルセチン | たまねぎ、レタス、ブロッコリー | |
ルチン | ソバ | |
非フラボノイド | クロロゲン酸 | コーヒー、なす |
エラグ酸 | イチゴ、ラズベリー、ザクロ | |
セサミン | ゴマ | |
クルクミン | ウコン、カレー粉、しょうが | |
カロテノイド | リコピン | トマト、スイカ |
ルテイン | ほうれん草、とうもろこし、ブロッコリー | |
カプサイシン | 赤ピーマン、赤トウガラシ | |
フコキサンチン | 海藻類 |
参照元:公益社団法人 日本栄養士会
紅茶に含まれるテアフラビン、テアルビジンはフラボノイドの一種となります。抗酸化物質とは、紫外線や害虫などから身を守るために植物が生成する成分です。
植物の色や香りのほかに、酸っぱさや渋さといった味で感じられます。
紅茶には複数の抗酸化物質が含まれていますが、なかでもテアフラビンとテアルビジン、カテキンの3種が高い抗酸化力をもつことが分かっています。
■テアフラビンとテアルビジン
紅茶の製造工程には、新鮮な茶葉に傷をつけて発酵させるという工程があります。この工程によって茶葉のポリフェノールが酸化され、抗菌性の強い色素(テアフラビン、テアルビジン)がつくられます。紅茶の赤い水色は、うれしい抗酸化作用の証とも言えますね。
■テアニンとカテキン
紅茶には、殺菌効果やリラックス効果に優れたテアニンという成分も含まれます。テアニンも抗酸化物質の1つであり、その他の抗酸化物質と同様に美容や健康のサポートに効果的な成分です。
ただし、日光に当たるとカテキン類の生成過程で消費されてしまうため、日陰で育てる玉露や抹茶よりは含有量が少なくなる傾向にあります。紅茶に含まれる抗酸化物質のなかで、カテキンが高い抗酸化力を示すのはこのためです。
■抗酸化物質の働き
抗酸化物質は、すべてが同じ働きをしているわけではありません。主な働きには、以下の3つの働きがあります。
・活性酸素の発生を抑える
・活性酸素の酸化力を抑える
・活性酸素による被害を修復する
このように、抗酸化物質の働きは分かれています。いずれも必要な働きとなりますので、どれか一つを意識するのではなく、バランスよく多くの食品を摂取することで総合的に補えるようにすることが最適です。
毎日の紅茶で元気に
健康や美容の維持には、バランスの良い食事や規則正しい生活が欠かせないものです。活性酸素や抗酸化物質は目に見えるものではないだけに、どれだけの効果が得られているのかが判断しづらいですが、「肌の調子が良くなった」「カラダが疲れにくくなった」など、少しでも良い変化を感じていけることが大切です。ぜひ、お水のような感覚で紅茶を飲んでみてはいかがでしょうか。